2004年 03月 22日
空中ブランコに乗る中年男 |
彼女は、お昼ちょっと前にやってきた。
彼女の会社は、いわゆるネット求人サイト大手の代理店で、前日に電話でアポの依頼があったのだ。
やってきた彼女は、25歳前後だろうか。薄いグレーが基調の、落ち着いた感じのスーツに、控えめなアクセサリーと化粧。やや小柄で、細めの体型のわりに、服の上からも大きめの胸が見て取れる。
淀みない口調でセールストークが流れる。こちらからの質問に対して、分からないこと、知らないことは、ちゃんとその通り答えるあたりに、そこそこの経験が伺える。
僕はすっかり彼女が気に入ってしまった。
彼女の話に興味がある反応を示し、あれこれと質問を重ねる。もちろん、もし仕事を頼んだら、という前提で。
そうこうするうちに、昼休みになった。僕はやや強引に彼女を昼食に誘い、ランチを食べながら、彼女の携帯番号とアドレスを聞きだし、そして仕事とは離れたところで会いたい旨を伝え、次の日の夕方・・・
「じゃ、また何かありましたら」という彼女の声で、僕は我に返った。
おかしい。僕は確かに彼女とデートの約束をしたはずなのに、手帳には携帯番号もメールアドレスも書いていない。そして翌日の夕方の欄は、やっぱり空白だった。
自分がサーバーの短編の主人公になったような気分だった。
(参考:J.サーバー「空中ブランコに乗る中年男 」)
彼女の会社は、いわゆるネット求人サイト大手の代理店で、前日に電話でアポの依頼があったのだ。
やってきた彼女は、25歳前後だろうか。薄いグレーが基調の、落ち着いた感じのスーツに、控えめなアクセサリーと化粧。やや小柄で、細めの体型のわりに、服の上からも大きめの胸が見て取れる。
淀みない口調でセールストークが流れる。こちらからの質問に対して、分からないこと、知らないことは、ちゃんとその通り答えるあたりに、そこそこの経験が伺える。
僕はすっかり彼女が気に入ってしまった。
彼女の話に興味がある反応を示し、あれこれと質問を重ねる。もちろん、もし仕事を頼んだら、という前提で。
そうこうするうちに、昼休みになった。僕はやや強引に彼女を昼食に誘い、ランチを食べながら、彼女の携帯番号とアドレスを聞きだし、そして仕事とは離れたところで会いたい旨を伝え、次の日の夕方・・・
「じゃ、また何かありましたら」という彼女の声で、僕は我に返った。
おかしい。僕は確かに彼女とデートの約束をしたはずなのに、手帳には携帯番号もメールアドレスも書いていない。そして翌日の夕方の欄は、やっぱり空白だった。
自分がサーバーの短編の主人公になったような気分だった。
(参考:J.サーバー「空中ブランコに乗る中年男 」)
by yuji4u
| 2004-03-22 19:52
| 仕事